
ステージの音楽と同じくらい、LIVE AZUMAのアイデンティティを形作っているのが、あづまの森に広がるフードエリアです。そこには、フェスの立ち上げ当初から参加し、「この2日間のために1年間準備してきた」と笑う地元・名店たちの姿があります。
なぜ彼らはこれほどの情熱を注ぎ、この一皿にすべてを懸けるのか。初開催からあづまの地のグルーヴをともに創り上げてきたキーパーソンたちへのインタビュー。彼らの言葉の端々から浮き彫りになるのは、美味さの先にある「食もフェスの一部」という美学と、この場所でしか生まれない圧倒的な熱量でした。
「LIVE AZUMAは、福島を代表する最高のパーティー」 ——芳賀眞(笑夢カレー)

■ 東京から始まった「福島フェス」の種が、あづまの地に花開くまで
—— LIVE AZUMAは今年で5年目を迎えますが、芳賀さんとこのフェスとの付き合いは、実はさらに前に遡るそうですね。
芳賀:そうなんです。LIVE AZUMAの原点をたどると、2013年から東京でスタートした『福島フェス』に行き着くんですよ。震災後、福島出身の同級生やクリエイティブチームが集まって、『被災地としての同情ではなく、自分たちにしかできないカッコいいイベントを東京から発信しよう』という強い想いで始まったイベントでした。最初は代々木公園からスタートして、翌年からは六本木ヒルズアリーナへ会場を移しました。会場には二本松提灯祭りの太鼓台が登場したり、豪華アーティストのライブや金賞受賞の地酒がずらりと並んで、東京の真ん中に熱い“福島”が出現していたんです。
—— 芳賀さんご自身も、その「福島フェス」の立ち上げ当初から参加されていたと。
芳賀:フライング・ベコ(LIVEAZUMA主催3社のうち1社)をはじめとする運営チームのみんなと元々知り合いで繋がっていた縁もあって、『福島フェスではフードで一緒にお願いします』とお声がけいただいたのが始まりでした。当時、運営チームのみなさんの間には『いつか自分たちの地元の福島で、本格的なフェスをやろう』という強い想いがずっとあったと思うんです。それが年月を経て形を変え、種となって結実したのが今のLIVE AZUMA。だから、2022年に初めてこのあづま総合運動公園でフェスが開催されたときは、長年の想いが地元で花開いたんだなと本当に感無量でした。

「福島フェス」での一幕。六本木からあづまの地へ。10年以上の時を経て受け継がれてきた「カッコいい福島を届ける」という想い。
■ 成熟する会場、パワーアップするラインアップ。一ファンとしても重ねる熱量
—— 初回から出店者として、そして一ファンとして見つめてきた中で、LIVE AZUMAの進化をどう感じていますか?
芳賀:年を追うごとに、目に見えて成熟し、スケールアップしているのを実感しますね。アーティストのラインアップがパワーアップしているのはもちろんですが、会場全体の運営や空間づくり自体がレベルアップしている。それに応えるように、全国から足を運んでくれるお客様の熱量や質もすごく高まっていて、ブースに立っていると『今年も来たよ!』『ただいま!』って声をかけてくれるリピーターさんが本当に多いんです。単なる一過性のイベントではなく、完全に『福島を代表する最高のパーティー』として定着したなと感じます。
—— 芳賀さんご自身も、準備の段階から強い高揚感があるのではないでしょうか。
芳賀:正直、出店者である前に一ファンとして毎年めちゃくちゃ楽しみにしているんですよ(笑)。運営スタッフの皆さんの並々ならぬ思いや苦労も知っているからこそ応援したいし、実行委員会の皆さんとは日頃から『どうすればもっとお客様に喜んでもらえるか』『どうしたらこのフェスがもっと良くなるか』というアイデアや熱い想いを自然と語り合っている。1年を通してずっとLIVE AZUMAの存在が頭のどこかにあって、街にポスターが貼り出されたりSNSでアーティストが順次発表(andmore)されるたびに、街全体と一緒に自分たちのテンションも上がっていくんです。

夜風とスパイスの香りに誘われて。フードエリアを彩るキッチンカー前には、いつの間にか笑顔の行列が広がっていた。
■ 福島の象徴的なロケーションと、フェスならではの「おもてなしの一皿」
—— あづま総合運動公園という場所だからこそ生まれる価値について、どう捉えていますか?
芳賀:福島市で『人が集う場所』『街のシンボル』といえば、誰もが真っ先に思い浮かべるのがこの公園です。サッカーのJリーグ(福島ユナイテッドFC)のホームスタジアムであり、誰もが親しんできた唯一無二のパワースポット。さらに西地区には、歴史ある名湯『土湯温泉』や『高湯温泉』があり、中世ヨーロッパの田園風景が広がる『四季の里』、オシャレな街並みと地ビールが楽しめる『アンナガーデン』といった魅力的な観光資源が集中しています。そこにLIVE AZUMAという最高の音楽と食の祭典が加わったことで、県外から訪れる人にとっても福島を丸ごと周遊して楽しむ最高のきっかけができていると感じます。
—— 普段の実店舗で出すカレーと、この広大な野外フェスで渡す一皿に、気持ちの違いはありますか
芳賀:目の前のお客様においしいものを届けるという根底の想いは特段変わりません。ただ、フェスでは『遠くから福島に来てくれた方への歓迎』という意味を込めて、福島の旬の食材をより意識して取り入れています。事前にしっかり段取りを組み、丁寧に向き合って仕込む作業はエネルギーがいりますが、忙しさに追われて作業が雑になるくらいなら、『手渡す一皿一皿を最高のクオリティで出す』ことを最優先にしたい。ブースに並んでくれたお客さんが一口頬張った瞬間に見せるパッと華やぐ笑顔を見たら、疲れなんて一気に吹き飛びますからね。

「笑夢カレー」不動の一番人気「あいがけカレー」。一皿で2つの本格スパイスカレーを同時に楽しめる贅沢な看板メニュー。
—— 出店者同士の横のつながりや、現場での空気感はいかがですか。
芳賀:周りの出店ブースも、福島の食シーンを牽引してきた名店ばかりです。お互いに『今年はどう?』なんて声をかけ合いながらも、それぞれの店が持てる最高のパフォーマンスを発揮しようとしている。心地よい緊張感と互いへのリスペクトがあって、食のエリア全体でひとつの『お祭り』を創り上げている感覚ですね。同じくLIVE AZUMAの初回から出ている『ぎょうざのひぐち』の樋口くんたちも含めて、このチーム福島で来場者を迎える熱量こそが、LIVE AZUMAの食の醍醐味だと思います。
—— 最後に、LIVE AZUMA 2026を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
芳賀:音楽ライブを心ゆくまで楽しむのはもちろん、会場の空気感、そしてオール福島の『食』と『観光』を全身で楽しんでほしいです。温泉に入って、美味しいものを食べて、最高の音楽を浴びる。この2日間で、1年で一番最高の思い出を作ってください。あづまの地で、とびきりのカレーを用意して待っています!

「笑夢カレー」店主の芳賀眞(まこと)さん
■ SHOP INFORMATION
店名:Curry and Spice dishes 笑夢(エム)美術館店
住所:福島県福島市森合西養山1番地(福島県立美術館・図書館敷地内)
営業時間:11:00~17:00(16:30L.O.)※曜日やイベントにより変動あり
定休日:月曜日(月曜が祝日の場合は、火曜日)
IG:https://www.instagram.com/mcurry2006/
「福島市・福島県の代表としてブースに立つ」 ——樋口義宏(ぎょうざのひぐち)

■ 初開催の知らせとともに手を挙げ、「福島代表」として立つブース
—— 初回開催が決まった当時、いち早く出店へと手を挙げられたそうですね。
樋口:そうですね。地元・福島で本格的なフェスが新たに立ち上がると知ったとき、『ぜひ出たいです!』と真っ先に声を上げました。せっかく地元でこんな面白そうな祭りが始まるなら、参加しない理由がないですから。出店するときは、常に『福島市・福島県の代表』として出ているつもりなんです。飯が美味いなんていうのはプロとして当たり前。その上で、テーマパークに来たみたいにお客さんをワクワクさせて、最高に楽しい気分でライブに向かってもらうことこそが僕らの役割だと思っています。

「出店するよ」。店内に貼られたLIVE AZUMA 2026のポスターには、街とフェスを繋ぐ店主の想いがそっと添えられていた。
■ 幅広いジャンルが交差する、フェスであり「街のお祭り」
—— 初回から5年間見つめてきて、LIVE AZUMAの進化をどう感じていますか?
樋口:毎年すごくチャレンジしているフェスだなと感じます。ロックだけじゃなく、ヒップホップなどのカルチャーもフラットに混ざり合っている。特定の『色』に染めすぎず、ジャンルや枠組みを超えて間口を広く取っているのが本当に巧いですよね。音楽やフェス飯はもちろん、物販やワークショップも含めて、大人から子どもまで誰もが楽しめるコンテンツが揃っている。会場を見渡すと、いわゆる音楽ファンだけでなく、ふらっと遊びに来たご家族連れもすごく多いんです。
—— まさに「街のお祭り」のような温かさがありますよね。
樋口:そう、地域の神社のお祭りに行くような気軽さがある。チケットを買ってライブを全力で楽しむ人はもちろん、エリアの賑わいやフード、マルシェの空気感を目当てに足を運ぶ人にとっても『入り口のハードルが低い』のが最高なんです。会場のあづま総合運動公園は秋の紅葉もきれいですし、コンパクトだから歩き疲れにくい。球場の設計のおかげか音がきれいに響いて音被りもしない。完全に『秋の恒例行事』として生活に馴染んでいるのを感じます。

秋風が心地よいあづまの森と、思い思いのスタイルで楽しむ来場者たち。LIVEAZUMAが目指す「大人から子どもまで、街の誰もがふらりと集えるお祭り」の風景がここにある。
■ 妥協のない一皿と、フェスとともに育つ家族
—— 実店舗とフェス会場で届けるメニューへのこだわりを教えてください。
樋口:看板の餃子はそのままの味を、誇りを持って出します。白菜ベースの餡で、時代や食べる人の舌に合わせて常にアップデートし続けている自慢の味です。一方で、フェスだからこその限定メニューや遊び心も大切にしています。たとえば人気の『自家製バイスサワー』のようなドリンクも、フェスの現場でお客さんにどう喜んでもらえるかを考えて生まれた大切な名物ですね。
—— まさにフェスという現場の熱量から生まれた体験ですね。
樋口:そうなんです。あと、5年続けていて一番うれしいのはお客さんの人生の変化に触れられること。第1回目から毎年来てくれている常連さんが、結婚して、子どもを抱っこして『今年も来ました!』ってブースに報告に来てくれたりする。『本当におめでとう!』なんて言葉を交わしながら、LIVE AZUMAという場所に帰ってくるお客様を迎える。フェスと一緒にみんなの家族が年を重ねて育っている感じがして、すごく面白いし温かい気持ちになりますね。

アップデートを重ねる看板餃子(右)と自家製バイスサワー(左)。最高のコンビネーションが喉を鳴らす。
■ 最高のチームで送り出す「2日間の物語」
—— ブースの前に立つスタッフの皆さんの活気やチームワークも非常に温かいです。
樋口:うちのバイトや手伝ってくれる仲間は本当に自慢です。昔、イベントの現場で遊んでいた近所の子たちが、大人になって手伝いに戻ってきてくれたりね。仕事って辛いこともあるけど『ちょっとしたことに幸せや楽しさを見つける』のがうちのポリシー。スタッフ全員が楽しんで接客している空気はお客さんにも絶対伝わりますから。

「楽しい」は必ず伝播する。最高の笑顔とチームワークで来場者を迎え入れる「チームひぐち」のメンバーたち。
—— 最後に、LIVE AZUMA 2026へ訪れる皆さんへメッセージをお願いします。
樋口:大人が楽しそうに笑っている姿って、一緒にいる子どもたちの記憶にもずっと残るんですよね。だから大人も子どもも、この2日間は思いきり喜怒哀楽を出して楽しんでほしい。美味しい餃子と最高のスタッフが、元気いっぱいの笑顔で皆さんを送り出します!あづまの地で待っています!

「ぎょうざのひぐち」店主の樋口義宏(よしひろ)さん
■ SHOP INFORMATION
店名:ぎょうざのひぐち
住所:福島県福島市大笹生仲畑68−1
営業時間:11:00~19:00
定休日:火曜日(※出店により変動あり)
IG:https://www.instagram.com/gyouzanohiguchi/