10.19-20

LIVE AZUMA 2024 | 福島県あづま総合運動公園

SPECIAL

2024年10月19日(土)、20日(日)に福島県あづま総合運動公園で開催された音楽フェス『LIVE AZUMA 2024』。今年で3回目を迎え、2日間で49組ものアーティストを迎えるこの福島県最大級の音楽フェスには、音楽以外にもアート、地元をはじめ東北に縁のある約100店舗が軒を連ねるマーケットが展開され、さまざまなエンターテイメントが楽しめる複合的な催しとなっている。本稿では両日でのべ3万7000人もの動員を記録し大きな盛り上がりを見せた『LIVE AZUMA 2024』のハイライトを、テキストを中心に振り返ってみようと思う。
 
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10月19日(土) 『LIVE AZUMA 2024』DAY 1

 
『LIVE AZUMA 2024』は福島あづま球場をステージとしたAZUMA STAGEと、隣接する緑豊かなPARK STAGEのふたつの会場でライブが行われる。AZUMA STAGEのトップバッターを飾ったのは、6年ぶりの再結成を果たしたAqua Timez。「虹」、「千の夜をこえて」、「決意の朝に」といった往年のヒット曲で、早くから会場に集まったファンを魅了していく。続く水曜日のカンパネラは、福島県在住の小中学生からなるダンスチーム約40名をバックダンサーに迎え、「たまものまえ」で“コンココンダンス”を披露。
 

 
突如降りだした雨にも負けずオーディエンスを盛り上げたLucky Kilimanjaro。昨年に続いての出演となったフレデリックは、新曲「CYAN」で進化を遂げたバンドサウンド、そして美しいロングトーンで成長した三原健司のボーカルを証明して見せた。大きな歓声に迎えられ登場したJO1は、デビュー曲「無限大」をはじめ、「WHERE DO WE GO」といった最新のナンバーで、11人のエネルギッシュな歌とダンスを披露する。
 

 
スチャダラパーは“心のベストテン第1位”、「今夜はブギー・バック」を歌唱し老若男女のシンガロングを誘う。グルーヴィーなサウンドで降り出した雨の滴りさえも音楽体験に変えてしまうgo!go!vanillasも強い印象を残した。『LIVE AZUMA 2024』DAY 1のヘッドライナーを務めたクリープハイプは、尾崎世界観によるアカペラではじまる「ナイトオンザプラネット」でライブをスタート。「HE IS MINE」、「栞」といったキラーチューンのほか、尾崎が福島の銘菓をもとに作ったという「愛の標識」では、〈今週君は帰る/生まれ育った福島へと〉と歌詞を変え、大きな歓声を誘った。
 

 
DAY 1のPARK STAGE、口火を切るのはU-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS。インド発祥の打楽器タブラとラップの掛け合いが心地よい。注目の新鋭MFSは最新作より「Combo」などをパフォームし、ダンサブルで迫力のあるライブを見せた。続いて登場のCampanellaは全14曲の濃密なパフォーマンス。「I DON’T KNOW」には客演にMFSを迎え、オーディエンスを沸かす。
 

 
昼下がりの時間帯に出演したのはTENDRE。人気曲「DOCUMENT」などを披露し、屋外ならではの気持ちよさを演出した。急遽出演が決まったVaVaはアグレッシブなステージングで観客を魅了。観客にコール&レスポンスやジャンプを促し、ライブ巧者としての面目躍如だ。
 

 
PARK STAGEが翳る17時すぎに登場したのはEGO-WRAPPIN’。この日は中納良恵と森雅樹のふたりのみのアコースティックセットだ。ギターと歌声のみで豊かな歌世界を表現するさまはこの日の白眉であったろう。そしてトリを務めたのは、昨年は電気グルーヴとしても出演した石野卓球によるDJセット。アップリフティングなテクノのグルーヴにフロアは大歓喜。PARK STAGEを一瞬でレイヴ会場に染め上げた。
 

 
 
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10月20日(日) 『LIVE AZUMA 2024』DAY 2


 
2日目のAZUMA STAGEのオープニングを飾ったリーガルリリーは、代表曲となるオルタナティブ・ロック「リッケンバッカー」でバンドの核となる衝動を見せつける。「swim」を筆頭にメロディックパンクで集まったオーディエンスを激しく揺らした04 Limited Sazabysも強い印象を残した。
 

 
indigo la Endはノスタルジックな「夏夜のマジック」をパフォーマンスし、しっとりとした空気を作っていく。続く堂本剛によるクリエイティブプロジェクト.ENDRECHERI.では、壮大なファンクネスを展開。堂本の「福島の風と一体化して楽しんでもらえたら」というMCからはじまった20分に及ぶフリーセッションは圧巻の一言。
 

 
2年ぶりの出演となるDragon Ashは、Kjが「Straight Up」でThe BONEZのJESSEを呼び込み、続けて「Fantasista」では2022年と同様にJUBEEのゲスト参加が実現し、会場をこれでもかと揺らす。HYDEは「PANDORA」や「夢幻」などの最新楽曲に加え、L’Arc〜en〜Ciel「HONEY」のほか、「GLAMOROUS SKY」といったヒット曲をヘビーなサウンドにアレンジして圧倒的なパフォーマンスを見せた。
 

 
MAN WITH A MISSIONは、代表曲「FLY AGAIN」のほか、「Raise your flag」、「Take Me Under」、「絆ノ奇跡」、「I’ll be there」といった鉄板のセットリストを披露し福島の聴衆を沸かす。そして『LIVE AZUMA 2024』の大トリを飾ったのは、昨年に続き2度目の出演となる羊文学。海外に活躍の場を広げている彼女たちが、さらに飛躍して福島の地に戻ってきた。「more than words」や「Burning」といった代表曲で、シンプルでありながら力強いオルタナティブサウンドを星が煌めく福島の夜空の下で響かせた。
 

 
PARK STAGEの2日目は今年7月にメジャーデビューアルバムを発売したばかりの新鋭、Newspeakからスタート。爽やかでパワフルなサウンドが鳴り響く。勢いそのままに登場したのはこちらも若きスリーピースバンド、LET ME KNOW。「偽愛とハイボール」のヒット曲などをパッションフルに演奏し観客にアピールする。福島でははじめてのライブと語るMONO NO AWAREは朗らかなバンドカラー同様、ピースな空気感でPARK STAGEを彩った。
 

 
昨年はSTUTSの客演として『LIVE AZUMA』に出演したdodoがソロで出演。前年からの延長線でラインナップを楽しめるのもこのフェスの魅力だろう。ヒット曲「Im」では多くの観客が集まりステージを盛り上げる。快晴のなか、ジャジーでスウィートなサウンドを響かせる鈴木真海子。chelmicoでのはつらつとした印象とはまたちがう大人なライブで午後のまどろみに華を添えた。
 

 
オープンリハーサルからサービス精神を見せてくれたKan Sanoによるバンドセットライブも素晴らしい。音楽を通して聴衆とさまざまなコミュニケーションを取ろうとする姿が印象的だ。夕方過ぎに登場したRyohuは「All in One」や「Forever」、「Thank You」など代表曲をバンドセットでソリッドかつアグレッシブに披露。PARK STAGEの大トリを任せられたWONKは11月に発売が迫る最新作、そしてリリースツアーの片鱗を垣間見せるような新鮮なパフォーマンス。バンドの充実っぷりを見せつける演奏でラストを見事に締め大団円を迎えた。
 

 
さて、この2日間の『LIVE AZUMA 2024』を早足でレポートしたわけだが、いかがだっただろう。上記のライブアクト以外にも、会場入り口付近の入場無料のPARK LIFE DJステージにオカモトレイジ、ZEN-LA-ROCK、JUBEE、grooveman Spot、セク山、okadada、Shōtaro Aoyamaら豪華なDJ陣が出演し、ヒップホップやハウス、テクノ、ロックなどさまざまなジャンルの音楽が鳴り響き、聴衆の耳を引いた。
 

 
そして10月19日の深夜には『LIVE AZUMA』と連動したイベントが福島Club NEOで開催されるなど、さまざまな楽しみ方が提案された音楽フェスであった。
 

 
地産の料理が楽しめるフードエリアは今年も大盛況。なかでもラーメン女子の監修による東北拉麺屋台村はどの時間帯も行列ができる人気ぶりであった。そのほか、さまざまな飲食店が並ぶ東北市場酒場、緑に囲まれた敷地で福島牛のBBQが味わえるAZUMA Terraceなど、友達やカップル、家族同士など、多様な層が楽しめるエリアとなっていた。
 

 
また、金子潤やHEART BOMB、Hirottonら、地元にゆかりのあるアーティストによるアート作品の掲示、アパレルや書籍、陶器など多彩な商品が並ぶマーケット、ここでしかできない体験ができるワークショップなど音楽以外のトピックも豊富で、地元近郊以外の人にもおすすめしたいイベントだ。ひとまずは『LIVE AZUMA 2024』の余韻を噛み締めながら、来年の開催を楽しみに待ちたい。
 
(取材・文/高橋圭太、渡辺彰浩)